基礎知識

個人向けの給与ファクタリングとは?おすすめできない4つの理由

個人向けの給与ファクタリング



早急に現金が必要な人の中には、「個人向け給与ファクタリング」に興味がある人もいるでしょう。

個人向け給与ファクタリングを利用すれば、早急に現金を手に入れられる可能性があるのは事実です。

しかし、結論からいうと個人向け給与ファクタリングはおすすめできません。場合によっては大きなリスクを伴うからです。

そこでこの記事では、個人向け給与ファクタリングをおすすめできない理由を4点解説していきます。

そもそも個人向け給与ファクタリングとは何か?についても解説するので、概要を知りたい方もぜひご確認ください。

また、ファクタリングの利用が初めてで用語や仕組みがわからない方は、まずは以下の記事からご覧ください。
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ファクタリングを初めて利用する方へ

個人向け給与ファクタリングとは?

まずは個人向け給与ファクタリングの仕組みや、種類ごとの違いについて解説します。

(1)個人向け給与ファクタリングの仕組み

そもそもファクタリングとは、売掛金を早期に回収することです。

たとえば2020年4月にA社へ商品を納品して、その代金が2020年6月末に支払われる予定だったとします。

言い換えると、納品してから実際に支払われるまでに、2か月のタイムラグがあるということです。

この「2か月間」というタイムラグを解消するために、売掛金(将来的に回収できるお金)をファクタリング業者に買い取ってもらいます。

この流れを「給与」で行うのが、個人向け給与ファクタリングです。

たとえば「2020年10月25日に振り込まれる給与」を、早急にファクタリング会社に買い取ってもらいます。

そうすれば、2020年10月25日より前に給与分(手数料は差し引かれる)の現金を手元に置いておけます。これが個人向け給与ファクタリングの仕組みです。

給与ファクタリング

(2)2社間・3社間の違いに注意

個人向け給与ファクタリングで注意しなければいけない点は、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類ある点です。

以下より詳しく解説します。

①2社間ファクタリングとは?

2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社だけで行います。

2社間ファクタリングの流れは以下の通りです。

2社間ファクタリングの流れ
  1. ファクタリング会社へ審査依頼
  2. ファクタリング会社へ給与債権を譲渡
  3. ファクタリング会社から買取金額が入金される
  4. 勤務先から給与が振り込まれる
  5. 給与をファクタリング会社へ返済

このように、2社間ファクタリングの場合には勤務先は関係なく、利用者とファクタリング会社間のやり取りになります。

なお、ファクタリング会社から買取金額が入金されるときは、手数料を差し引かれて入金されます。つまり、本来もらえる給与からは減額されるということです。

②3社間ファクタリングとは?

一方、3社間ファクタリングは前項の2社間ファクタリングに「勤務先」が加わります。

2社間ファクタリングは、勤務先からファクタリング利用者へ給与が振り込まれて、その給与をファクタリング利用者がファクタリング会社へ返済します。

一方3社間ファクタリングは、勤務先からファクタリング会社へ直接給与を支払うという流れです。

③2社間・3社間ファクタリングの違い

2社間・3社間ファクタリングの違いは以下の通りです。

  • 手数料
  • 審査基準
  • 勤務先へ影響

手数料は3社間ファクタリングの方が安価になります。3社間ファクタリングだと、ファクタリング会社は勤務先から給与を回収するので、未回収リスクが低くなるからです。

また、2社間ファクタリングの場合は主に「ファクタリング利用者」と「勤務先の経営状況」の両方を審査しますが、3社間は「勤務先の経営状況」を重視します。

さらに、2社間ファクタリングは勤務先にファクタリングしていることは知られません。一方、3社間ファクタリングは勤務先に知られてしまいます。

2社間・3社間でファクタリングの流れや特徴が異なるので、この点は良く理解しておきましょう。

【理由1】金利が法外なケースがあるから

ここからは、個人向け給与ファクタリングをおすすめできない理由について解説します。

おすすめできない1つ目の理由は、法外な金利を設定しているケースがあるからです。この点については、金融庁からも注意喚起が出ているほどなので注意しましょう。

以下より詳しく解説します。

(1)金利の上限は20%

金融機関が設定して良い金利の上限は、利息制限法と出資法で年利20%と決まっています。

かつては「グレーゾーン金利」といって、利息制限法と出資法の上限金利は異なっていましたが、今ではどちらも上限金利20%です。

しかしファクタリングは「給与債権の売買」であり貸金ではないとされていたので、上限金利以上を設定していたファクタリング業者もあります。

(2)注意点:年利に換算する

上限金利に関する注意点は、年利に換算するという点です。

たとえば、個人向けファクタリングを利用する場合、給与30万円でファクタリング業者に3万円の手数料が引かれていたとします。

一見すると利率は10%(3万円÷30万円)です。しかし、これは月利ベースの考えなので、年利換算する必要があります。

年利換算する方法は、「3万円×12(か月)=36万円」の手数料として、利率を再計算することです。

つまり、この場合は年利換算すると120%(36万円÷30万円)という法外な利率になることが分かります。

このように、パッと見ただけで年利は分からないので、年利では何%になるか?は計算しておきましょう。

(3)金融庁の注意喚起

上述したように、この「法外な金利」は金融庁からも注意喚起されています。

金融庁が金利について注意喚起している内容を見ると、貸金業の登録を受けていないヤミ金融業者により、年率換算すると数百~千数百%になる手数料を支払わされたケースがあったようです。

給与ファクタリングは生活を楽にするために利用するものですが、ここまで法外な金利になるとかえって生活は苦しくなるでしょう。

もちろん、このような業者だけではないものの、リスクが高いのは事実なので、個人向けの給与ファクタリングはおすすめできません。

参考:https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html#02

【理由2】そもそも給与債権の譲渡はNGだから

個人向け給与ファクタリングをおすすめできない2つ目の理由は、給与債権の譲渡はNGだからです。

というのも、労働基準法には以下の記述があります。

賃金については、労働基準法第24条において、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならない

上記の「(2)直接労働者に」とあるように、基本的に給与は直接労働者に支払わなければいけないのです。

とはいえ個人向けの給与ファクタリングは存在するので、実質はこの労働基準法は無視されているということです。

しかし厳密にいうと、個人向けの給与ファクタリングは労働基準法に抵触しているのは事実なので、この点からもおすすめできません。

参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei05.html

【理由3】悪徳業者がいるから

個人向け給与ファクタリングをおすすめできない3つ目の理由は悪徳業者がいるからです。

上述した金融庁の注意喚起によると、法外な利率を設定する業者以外にも、以下のような悪徳業者がいるようです。

(1)生活の平穏を乱す業者

生活の平穏を乱すような業者とは、具体的には返済できない利用者に対して大声で恫喝したり、勤務先へのしつこく連絡したりする業者のことです。

ほかにも深夜・早朝の取り立てや、家族等への取り立てといった、貸金業では禁止されている取り立てを行う業者もいるようです。

上述したように、個人向けの給与ファクタリングは生活を楽にするために利用します。しかし、このような生活の平穏を乱す業者がいると、逆に生活は苦しくなるでしょう。

(2)貸金業を装う業者

金融庁は「給与ファクタリングは実質貸金業に該当する」としています。

そのため、貸金業に登録がない業者は避けた方が良いでしょう。

しかし、貸金業に登録していない業者が貸金業者を装うケースもあるので注意が必要です。

そのような業者を見極める方法の一例は以下の通りです。

  • 契約書に「債権譲渡契約(売買契約)」であることが定められていない
  • ファクタリング業者から受け取る金銭が債権額(給与)より極端に低い

ファクタリングであれば、契約書の名称は「債権譲渡契約(売買契約)」になるはずです。

また、ファクタリング業者から受け取る金銭が、買い取ってもらった債権(≒給与額)よりも極端に低い場合には、上述した法外な利率を設定している可能性があります。

そのため、このような場合は悪徳業者の可能性が高いので注意しましょう。

参考:https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html#02

(3)リスク:個人情報の漏洩

前項までのように、悪徳業者とやり取りすると精神的にも金銭的にも大きなデメリットがあります。

さらに、そのような悪徳業者の場合は個人情報が漏洩するリスクもあるでしょう。

当然ながら、恫喝して取り立てて来る業者や貸金業者を装うような業者は、まともなファクタリング業者とは言えません。

しかしファクタリングする際は個人情報を渡す必要があるので、その「まともでない」悪徳業者から個人情報が漏洩する可能性があるのです。

たとえば「お金に困っている」というリストにラインアップされて、別の闇金業者などから連絡が来ることも考えられます。

この点からも、個人向けの給与ファクタリングはおすすめできません。

【理由4】勤務先からの信用力が低下するから

個人向け給与ファクタリングをおすすめできない4つ目の理由は、勤務先からの信用力が低下するからです。

上述の通り、3社間取引の場合は勤務先にファクタリングを利用していることが知られます。

勤務先からすると余計な手間が増えるので、個人向け給与ファクタリングを歓迎する会社はないでしょう。

さらに、「ファクタリングを利用するほど経済的にひっ迫している」と認識されるので、会社からの評価も下がる可能性は高いです。

その結果、社内の評価は下がり、人事的な面でもマイナスを受けるリスクがあります。

この点からも、個人向け給与ファクタリングはおすすめできません。

まとめ

このように、個人向け給与ファクタリングは「金利が法外なケースが多いから」「そもそも給与債権の譲渡はNGだから」「悪徳業者がいるから」「勤務先からの信用力が低下するから」という理由でおすすめできません。

個人向け給与ファクタリングをおすすめできない理由
  • 「金利が法外なケースが多いから」
  • 「そもそも給与債権の譲渡はNGだから」
  • 「悪徳業者がいるから」
  • 「勤務先からの信用力が低下するから」

そもそも労働基準法に抵触していますし、勤務先からの信用力が低下するという大きなリスクがあります。

それでも個人向け給与ファクタリングを利用したい場合には、上記のリスクを良く認識した上で利用しましょう。

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