基礎知識

請求書の買取(現金化)の仕組みとは?売掛金を売り資金調達する方法

請求書の買取(現金化)の仕組みとは



資金調達方法の一種として「請求書の買取」「請求書の現金化」という言葉を聞いたことはないでしょうか。請求書の現金化を利用したことのない方だと、言葉だけ聞いてもいま一つピンとこないかもしれません。

この記事では、請求書を現金化するとはどういうことなのか、どのような仕組みで現金を調達できるのかを紹介しています。融資以外の資金調達方法を検討している方はぜひ参考にしてください。

請求書の現金化・請求書の買い取りとは

まずは、請求書の現金化とは何なのか?どのような行為を指すのか、という点を考えていきましょう。

(1)売掛金債権の売却による資金調達=ファクタリングのこと

結論から言うと、請求書の現金化は売掛金債権の売却による資金調達方法(ファクタリング)のことです。

請求書の現金化といっても、皆さんが日々発行している紙の請求書を売却するわけではありません。現金化するのは請求の根拠となる売掛金債権で、債権の存在を証明する書類として請求書を提示するため、このように呼ばれています。

請求書の現金化は、一般的にはファクタリングという名で通っているため、こちらの方が通りは良いかもしれません。利用者(債権者)から売掛金の買い取りをおこなう会社をファクタリング会社と呼び、現金化はファクタリング会社を利用して行なうのが一般的です。

(2)債権譲渡との違い

請求書の現金化と似た意味を持つ言葉として「債権譲渡」と呼ばれるものがあります。債権譲渡は、広義の法律用語では「債権の性質をそのままに第三者に移転すること」なので、債権の売却であるファクタリングも、債権譲渡の一種です。

一方金融業界でいう狭義の債権譲渡は、おもに「不良債権の有償・無償での譲渡」を指します。この場合の「債権」は債務者が支払い不能に陥って焦げ付いた債権のことです。

ファクタリング会社は期日が到来していない売掛金債権のみ買取をおこなうため、焦げ付いた不良債権は取り扱いません。狭義の債権譲渡とファクタリング(請求書の現金化)はその意味が異なるのがお分かりいただけるかと思います。

(3)どんな債権でも買い取ってくれるわけではない

ファクタリング(請求書の現金化)では、どのような債権でも取り扱うわけではありません。前述のような不良債権は「債権回収会社(サービサー)」の領分であるため買い取りません。

ファクタリング会社で取り扱うのは、おもに事業主や法人が掛け取引で取得した売掛金債権です。その他、医療系の診療報酬債権や介護報酬債権などを取り扱うこともありますが、一般的には、売掛金債権をメインに取り扱います。

なお、ファクタリング会社の中には、給与債権のファクタリングが可能であると宣伝している会社もあります。しかし、給与債権の取り扱いには貸金業の業登録が必要なため、一般的なファクタリング会社では取り扱っていません。

(4)請求書の買い取りを利用するメリット

資金調達方法はファクタリング(請求書の買い取り)だけではありません。他の資金調達方法と比べて、ファクタリングが優れているのはどのような点なのでしょうか。

ファクタリングのメリットはいくつかあるのですが、利用者がファクタリングを希望する大きな理由としては「現金化の早さ」「借金にならない」という二点です。

まず、融資であれば相談から振込まで2~3週間かかる場合も珍しくありませんが、ファクタリングでは最短で即日に現金化が可能です。そのため、急ぎの資金調達の方法として非常に優れています。

また、融資と違って借金にならない点も強みといえます。信用情報に履歴が掲載されることもありませんし、担保も不要です。何より、月々の返済が必要ないという点が評価されています。

融資にも、ファクタリングにもそれぞれ異なるリスクはありますが、何らかの理由で融資を利用できない・したくない方であれば、ファクタリングに魅力を感じることは多いでしょう。

請求書の現金化の仕組み

ファクタリング(請求書の現金化)の基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 期日未到来の売掛金債権がファクタリング会社に売却される
  2. ファクタリング会社から売掛金の代金の振込
  3. 取引先が商品・サービスの代金を振込
  4. 利用者がファクタリング会社の口座に送金(2社間の場合)

では、ファクタリングの形式や審査のポイントなど、具体的な仕組みを見ていきましょう。

(1)2社間・3社間ファクタリングの二種類がある

まず、ファクタリングには2社間・3社間の二つの種類があります。2社間はファクタリング会社と利用者、3社間はファクタリング会社と利用者・取引先で契約をおこないます。

2社間ファクタリングは取引先に対してファクタリングの事実を知られない一方、3社間ファクタリングを利用した場合と比べ手数料が高くなる傾向にあります。3社間ファクタリングの場合、手数料が安いメリットがある反面、取引先を巻き込むため手続きがやや煩雑です。どちらがよいかは、利用者の事情や取引先との関係なども考慮しつつ決定していくことになります。

2社間・3社間ファクタリングの詳細とメリット・デメリットについては以下で詳しく紹介しています。参考にしてください。
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ファクタリングの仕組み

(2)融資と違い信用情報には掲載されない

ファクタリングは融資ではなく売掛金債権、つまり会社の資産の売却なので、融資とは性質が大きく異なります。融資を利用したときのように信用情報には掲載されません。

新しいクレジットカードの申し込みや新規の融資を検討している場合でも安心して利用できます。

(3)審査では取引先の信用を重視する

ファクタリングを利用する際も審査は存在しますが、利用者の信用が重視される融資と違い、重視されるのは取引先の信用(売掛金の信用)です。ファクタリング会社が審査で重点的に確認するのは「売掛金債権を額面どおり支払ってくれるか、それだけの支払い能力があるか」なのです。

つまり、取引先の信用によっては売却価格が下がる、買い取りを断られるといった可能性もあります。裏を返せば、信用情報に不安を抱えているケースでも、取引先の信用が十分であれば審査を通過する可能性は高いといえます。

請求書の現金化(ファクタリング)はどんなときに利用できるのか

実際にファクタリングの利用でメリットがあるのはどのようなときなのでしょうか。ファクタリングはどんなときに利用できるのか、おすすめなのはどんな場合かを解説していきます。

(1)個人事業主の利用は限定的

事業を行なっている方は、大きく法人と個人事業主に分かれますが、個人事業主やフリーランスの場合、ファクタリングを受け付けてくれるファクタリング会社は限定的です。

というのも、ファクタリング会社によっては法人の債権のみ買取対象にしていることがあるためです。誰でも利用できるわけではありませんので注意してください。

フリーランス・個人事業主への対応はファクタリング会社によって異なるため、査定を申し込む前にWebサイトなどで確認しておくのがおすすめです。

(2)急ぎの資金調達が必要なときに

ファクタリングが最も力を発揮するのは、すぐに現金が必要であるという火急の資金調達の場面です。

通常、銀行や政府系の金融機関では、審査に通ったとしても、振込までに数週間から1ヶ月かかることは珍しくありません。すぐに資金が欲しいというときに、のんびりと入金を待っている余裕はありません。かといって、融資の早いノンバンクのビジネスローンは10%を超える高金利になることも多いです。

こんなとき、ファクタリングは強い味方になってくれます。ファクタリング会社によっては5%以下の手数料での買い取りを実現しているところもあります。

(3)借り入れを増やしたくないときに

「既に金融機関からの借り入れがあり、これ以上借り入れを増やすと資金繰りが苦しい」「いざというときの融資のために信用情報はなるべく綺麗にしておきたい」こんな希望がある場合も、ファクタリングの利用がおすすめです。

ファクタリングは、借金である融資と違ってあくまで会社の資産の売却です。そのため、売却の事実が信用情報に載ることはなく、融資の際に金融機関に見られる心配もありません。財務諸表にも借入金として計上する必要はないため、融資の審査などで書類の提出が必要な際も安心できます。

(4)融資の審査で落とされてしまったときに

融資の審査で落とされてしまい、金融機関からの借り入れが受けられない場合でも、ファクタリングであれば現金を調達できる可能性があります。

金融機関の審査に落ちてしまうということは、信用情報や業績に何らかの不安がある可能性が高いです。金融機関は利用者の信用情報を融資可否の判断材料とするためです。

一方ファクタリングでは、利用者自身の信用情報や業績より、取引先の信用、つまり対象の売掛金を決済するだけの支払い能力があるかを重視します。極端な例でいえば、信用情報に事故情報が掲載されている(ブラックリストに載っている)方でも、取引先の信用次第では資金調達ができる可能性があります。

実際の審査の結果はファクタリング会社がどのように評価するかで変化しますが、金融機関の融資を利用する場合と比べると資金調達が可能である確率は高いといえるでしょう。

請求書の現金化は融資と並んで検討できる第二の資金調達方法

ファクタリング(請求書の現金化)は、資金調達方法としてまだまだ一般的ではありません。しかし、いたずらに負債を増やしたくないという事業者から徐々に評価されており、少しずつ知名度が高まって来ています。

融資とファクタリングは、それぞれメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが優れているとは言えません。両者の特徴や利点・リスクを知った上で使い分けるのが、資金調達を有利に行ない、事業を円滑に回すための近道といえます。

ファクタリングについてさらに詳しく知りたい方は、以下から詳細をチェックしてみてください。
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参考サイト(記事中にリンク・引用を表示しないもの):
速報 給与ファクタリング 貸金と認定|一般社団法人 日本ファクタリング協会
債権譲渡とは – 日本ファクタリング業協会
債権譲渡とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
ファクタリングの基礎知識。仕組みから利用のポイントまで徹底解説 | クラウド会計ソフト freee
ファクタリングの株式会社三共サービス
ファクタリング5つのデメリット。リスク・マイナス要素を紹介|Best Factor

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