基礎知識

ファクタリングの会計処理どのように行う?仕分け・勘定科目について

ファクタリングの会計処理どのように行う



企業の新しい資金調達の方法として注目を集めているファクタリング。

しかし、ファクタリングではどのような会計処理をすればよいか分からないと言う方も多いのではないでしょうか。

当記事ではファクタリングの会計処理や仕分け方法について、わかりやすく解説します。

ファクタリングの利用が初めてで用語や仕組みがわからない方は、まずは以下の記事からご覧ください。
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ファクタリングを初めて利用する方へ

ファクタリングの会計処理方法

ファクタリングはどのように会計処理をすればよいのでしょうか。

具体的に見て行きましょう。

(1)ファクタリングの仕組み

ファクタリングの仕組みアニメーション

※取引手順どおりに画像が動きます

まずは会計処理について解説する前に、ファクタリングの仕組みについて簡単に解説します。

ファクタリングとは簡単に言うと売掛金を売却することで資金化するというものです。売掛金は資金化するまでに時間がかかります。

資金繰りが悪化した際に売掛金を早く回収しないと運転資金が確保できない場合もあるでしょう。そのような時に売掛金をファクタリング業者に売却することで、即現金化することが可能です。

ファクタリング業者は売掛金を買い取って、その企業の代わりに資金を回収します。ファクタリング業者は資金を回収する手間や取引先企業の貸し倒れリスクを負う代わりに、売掛金を売却した企業はファクタリング業者に手数料を支払います。

一見、せっかく売上をあげたのに、ファクタリング業者に手数料を支払うのはもったいないような気もします。しかし、資金繰りが滞った場合は、目先の現金を手に入れることが最重要です。

いくら売上をあげていても現金が回収できなければ、倒産する可能性があります。特に売上が好調な場合は、商品の仕入れに資金が必要なこともあるので、早期の現金化が重要となります。

売上好調でも黒字倒産となる可能性もありますので、ファクタリングは早期に現金を得たい企業にとってはメリットの大きい制度と言えるでしょう。

(2)ファクタリングを利用しない場合の会計処理

次にファクタリングを利用しない場合の会計処理について解説します。

まずは売上が発生したら以下の仕分けを行います。

借方:売掛金/貸方:売上高

この時点ではまだ現金を回収できていませんので、売掛金として残った形となります。

その後、問題なく売掛金を回収できた場合には以下のように仕訳をします。

借方:現金預金/貸方:売掛金

こちらで売掛金が無くなります。借方と貸方は必ず同じ金額です。

ファクタリングを使用しない場合には売上時点では売掛金が残り、無事回収できれば売掛金は取り崩し、現金預金になると言うことを覚えておいてください。

(3)ファクタリングを利用した場合の会計処理

次にファクタリングの会計処理について見て行きましょう。

売上が発生した時点では、通常時と同様に以下のように仕訳をします。

借方:売掛金/貸方:売上高

次に該当の売掛金に対し、ファクタリング契約を実施した際は以下のような仕訳を行います。

借方:未収入金/貸方:売掛金

この時点ではまだ現金化できていませんが、ファクタリング契約を締結し、売掛金を売却することが決定した時点で売掛金ではなくなりますので、未収入金を計上して、売掛金は取り崩します。

この際に未収入金は売掛金と同じ金額になります。

実際に受け取る金額はファクタリング業者に支払う手数料がありますので、売掛金全額を回収できるわけではありませんが、未収入金は売掛金と同額になるということを覚えておいてください。

次に、未収入金を回収し、現金化した際の会計処理は以下の通り行います。

借方:現金預金・売上債権売却損/貸方:未収入金

実際に現金として回収していますので、未収入金は取り崩します。そして、実際に現金を回収した金額を現金預金として借方に計上します。

また、手数料としてファクタリング業者に支払った金額を売上債権売却損として借方に計上します。

現金預金+売上債権売却損は、必ず未収入金(売掛金)と一致します。

例えば未収入金(売掛金)が50万円ファクタリング業者に支払う手数料が3万円の場合には現金預金として47万円、売上債権売却損として3万円を計上することになります。

なぜこのような仕訳を行うかというと、実質的にはファクタリング業者に手数料を支払っていることになるのですが、あくまでファクタリングは売掛債権を売却したという形になります。

売掛債権を売却するということは株式等を売却した際と同じように金融商品を取引したことになりますので、売却損として計上することになるのです。

また、ファクタリング契約と入金が同時であった場合には以下の通り仕訳を行います。

借方:現金預金・売上債権売却損/貸方:売掛金

ファクタリング契約と入金が同時で、即日入金となった場合には未収入金としては計上せず、売掛金を取り崩して現金預金と売上債権売却損を計上します。

この際、現金預金と売上債権売却損を合計した金額が売掛金と一致するように仕訳を行う必要があります。

ファクタリングの消費税は?

ファクタリング手数料には消費税がかかると思われている方も多くいますが、実はファクタリング手数料には消費税がかかりません。

その理由はファクタリングが債権の譲渡という取引内容になるからです。

債権譲渡の取引は非課税となっています。前述の通り、ファクタリングの手数料はあくまで株等の金融商品を売却した際の売却損と同じ扱いで処理されます。

株式を100万円で購入した際には5万円を売却損として計上しますが、売却損の5万円に対し消費税を支払うことはありません。

ファクタリングの手数料はあくまで金融商品の売却損として扱いますので、株式を売却した際に消費税を支払わないのと同様で支払う必要が無いと言うことは覚えておくと良いでしょう。

ファクタリングでバランスシートを改善できる?

ファクタリングはバランスシートを改善できるという利点があります。

その理由は同じ金額を資金調達するのであれば、借入を起こすよりもファクタリングを利用する方が総資産を減らすことができる(オフバランス化できる)という点にあります。

例えば、売掛金が500万円あり、回収に時間がかかると判断し、500万円の融資を受けるとします。この場合、負債が500万円増えますので、総資産が500万円増えることになります。

一方ファクタリングを利用した場合では、融資は増えませんので、同じ500万円の資金調達を行っているにも関わらず総資産は増えないということになります。

総資産が増えると総資産利益率(ROI)などの指標に影響を及ぼします。

例えば、先ほどの例では負債以外の資産が1,000万円、純利益が200万円の企業であった場合、負債が500万円増えたことで、総資産利益率(ROI)は13.3%(200万円÷1,500万円)となります。

一方、ファクタリングを利用した場合は負債が増えないため、総資産も増えることがありませんので、総資産利益率(ROI)は20%(200万円÷1,000万円)となります。

このようにファクタリングを利用することで融資額を減らすことができれば、バランスシートを改善し、同じ売上でも総資産利益率を上げることができるのです。

ファクタリングの会計上のメリット

ファクタリングの会計上のメリットは先ほどご説明したバランスシートの改善があげられます。

また、ファクタリングは現金を早期に得る手段であるため、キャッシュフローも改善します。

企業の会計において、いかに健全かを見せる事は非常に大切です。このような指標を改善しておくことによって企業としての社会的信用度が上昇します。

結果として、銀行融資等の資金調達が用意にできるようになります。

また、ファクタリングには貸し倒れリスクを抑えると言う効果もあります。ファクタリングを利用するということは売掛債権を売却するということになりますので、取引先が万が一売掛金の金額を支払わなかったとしても損失を被ることはありません。

売掛金を回収できないとなると大きなダメージを受けることになりますので、売掛金を売却した時点で貸し倒れリスクを背負うことは無いと言う点も、ファクタリングの会計上のメリットとなっています。

ファクタリングの会計上のデメリット

メリットも大きいファクタリングですが、デメリットもしっかり理解しておく必要があります。

まず、大きなデメリットとなるのは、ファクタリングを利用する場合は手数料がかかるということです。

ファクタリングを利用せずに資金を問題なく回収できるのであれば、ファクタリングを利用する必要はありません。早期に資金化することによって手数料がかかってしまうと言う点は会計上のデメリットと言えるでしょう。

また、一般的な融資よりも手数料が高いことも多いため、費用面には十分に留意する必要があります。

また、悪質なファクタリング業者も多く存在しますので、健全なファクタリング業者を選定して契約することが重要です。

まとめ

ファクタリングの会計処理や仕訳について解説しました。

ファクタリングは早期に資金調達が可能となるため、新しい資金調達の方法として注目を集めています。

ファクタリングの最大のメリットは早期に資金調達が可能であると言う点です。

いくら売上が好調でも現金化できなければ意味がありません。黒字倒産しないためにも資金繰りを良好にしておくことは企業活動にとって非常に重要なことです。

次に、バランスシートの改善に繋がる点もファクタリングのメリットとなっています。

実質的には融資と同じ効果を得られるにも関わらず、融資金額は増えていないためROI(総資産利益率)などの指標を悪化させることなく資金調達ができるのです。

ただし、ファクタリングは手数料がかかるというデメリットもあります。

また、超低金利の現在では融資金利よりもファクタリング手数料の方が高いことが一般的ですので、ファクタリングを利用せずに資金繰りを回せるのであれば、使わないほうがよいでしょう。

ファクタリングは新たな資金調達の手段として注目を集めていますが、使い方を誤らないようにすることが重要です。